経理マンが中小企業に転職しました。昭和の空気が漂う雰囲気に衝撃を受けました。

はじめに

業務委託契約を打ち切られた私は、フリーランスの立場で会社にいる居心地の悪さが嫌気がさして、また会社員に戻れないかと思い転職活動をすることにしました。
しかし、15年前の転職時にかなり苦労した経験があり、今回は四十代がもうすぐ終わるという年齢だったためまず無理だろうと考えていました。

リクルートに登録してエージェントの方から「書類審査の通過率は3.5%」と言われ、私も書類審査でほとんど落とされることは覚悟をしておりました。
しかし、ふたを開けてみると面接に呼んでいただける会社が結構な数あり、こんなことならばカメラ輸出がうまくいかなくなった時にすぐ転職活動をしていればなどと思いました。

贅沢を言っている余裕はなかったので、内定を出してもらえる会社があればそこに決めようと思っていたところ、アパレル副資材を扱っている会社が一回の面接で内定を出してくれました。
面接に行った時に、いきなり社長が面接の場にいたのはびっくりしましたが、海外に何か所か生産拠点があり、RFIDタグというコンビニのレジを将来無人で行うために使うものを扱っている会社だったので内定を断る理由はありませんでした。

決算が締まっている頃なのに一体何をやっていたんだろう・・・

この会社の決算は12月決算で、私が入社したのが1月の下旬でした。
私の感覚では期末から3週間は経っているので、そろそろ決算も締まって落ち着いている頃だと思っていました。

入社時の説明を受けた後、自分の席に案内された私は、これから少しの間は会社の経理の状況などを調べながらのんびり過ごせるかなと思っておりました。
席に座ってのんびり帳簿を見ていたところ、これまで経理を取りまとめていた方から、自分は消費税に明るくないので課税区分が間違っているところが無いか見てほしいと頼まれました。
しかし、ざっと見たところ課税区分が壊滅的に違っており、直すのにかなり時間がかかる状態でした。

経理部員全員に呼び掛けて、消費税の概略を説明するミーティングを開いて、やってほしい作業の説明をしたのですが、何人かの部員はこれは自分の仕事ではないと思っているみたいで、なかなか作業を始めようともしません。
消費税の課税区分の修正作業が終わり、消費税の計算が終わったのは申告期限の10日前くらいでした。

消費税の計算がもうすぐ終わるかなと思っていた時、この会社は監査を受けようとしており、2~3日後に監査が始まるのが分かりました。
急いで在庫の計算やら法人税の計算やら終わらせて決算を締めた訳ですが、当然監査の資料を準備する時間が満足にある訳がありません。
監査法人からは、監査に必要な資料が提出されないので監査ができないと言われ、予定していた日程の半分くらいで事務所に引き上げられてしまいました。

課長になったこともないんですが・・・

私は今まで課長もやったこともなかったので、サラリーマンに戻ったからには平社員としてのんびりとやらせてもらいたいなどと考えておりました。
しかし、案内された席が責任ある人が座るところだったので、それなりに責任のあるポジションに据えられているのが分かりました。

何日か経って名刺を配られたので見てみると「副部長」となっていました。
正直言って役職をつけるのに金はかからないという考えがあるのか、平の方でも係長とか課長代理とか役職がつけられておりました。
私は役職に全然価値を感じないので「ふーん」としか感じておりませんでしたが、私の名刺をみた子供達は、クレヨンしんちゃんで課長とか部長とか役職がよく出てくるせいか喜んでおりました。

会社の給与水準が全体的に低いようで、私が受け取る給料に見合う仕事となると、それなりに責任のあることを任せねばといったことだったと思います。

経理部員の半分が一年前まで営業をしていたそうです

私の感覚だと、経理部には40代の責任者と、30代の中堅社員が2~3人、その下に20台の若手が数人といった構成が当たり前だと思っておりました。
しかし、この会社の経理部の構成は、半分以上が私を含めて40代の人間で、その下にアラサーの女性と高校を春に卒業しましたといった女の子がいるという、おじさんおばさんが肩身の狭い思いをしなくてもすむ環境でした。

一番びっくりしたのが、経理部員の半分は一年前まで営業部門にいたことです。
経理部門には普通、よその会社で経理をやっていたという経理経験者か、新卒で経理部に配属されましたといった生え抜きの人間しかいないのが通常です。
しかし、この会社では経理部員を集めるのに、わざわざ社内公募なるものをして希望者を集めたそうです。

経理の現場をよく知らない状態なので、自分に与えられた支払業務や現金の管理のような仕事以外はやらなくてもいいといった感覚がありました。
そのため、通常では決算が終わっている時期に、決算が締まる気配すらない状態でも、何だか他人事といった雰囲気がありました。

簿記の知識も怪しそうな方がいたので、強制的に簿記の勉強をするため、日商簿記3級の問題集をあらかじめ用意してもらって、私の目の前でやってもらうといったこともやってみました。
事前に試験問題も分かっているので、落ちるはずのない試験であると思っておりましたが、二度試験をやってみても二度とも落第点でした。

高卒の新人が配属されてきました

この会社では商業高校の卒業生を定期的に採用しておりました。
国税庁では普通科といって高校卒業者を対象とした採用試験があり、高校卒業後、税務大学校で一年研修を受けた後に税務署に配属されてきます。
私が税務署に入った時にも一緒に普通科の方が配属されてきたのですが、研修とはいえ社会人経験が一年あるため、私より年下でもしっかりしていた記憶があります。

このため、大学を出ていなくても戦力にならないといったことは全く想定しておらず、「全商簿記」という耳慣れない試験でしたが簿記の勉強もしてきたようなので、40代の元営業さんよりも伸びしろも期待できるのでいいのではと当初は思っていました。

しかし、仮受金の勘定内訳を作らせたところ「金額がマイナスになった」などと報告してくるのです。
おそらく資産負債の違いも分かっていないようで、資産側の勘定内訳と同じように作ったらマイナスになったと言っているようです。
そこで、この「全商簿記」なる試験内容を見せてもらったところ、「これ簿記の試験といえるレベル?」といった内容のものでした。
業務知識が不足しているので「日商簿記3級くらいはとってもらわないと」と思い勉強するようにいったのですが、何か月たっても業務知識が入社当時のレベルから増えたようには見えませんでした。

税務署の普通科生は、仮にも国家試験を通ってきています。
それなりに勉強してきた経験があるので、大学出の社会人経験がない人間と比べても戦力になっていた雰囲気がありました。
商業高校がどのような所なのかよくは分かりませんが、私のイメージだと勉強があまり好きでない人が高卒の資格をとるために入る高校という感じがします。

大学受験なり、資格試験のための勉強なり、一生懸命に勉強した経験があると、自分に足りない知識がある場合、自分で勉強してキャッチアップするといった意識が働くと思います。
こういった意識が、勉強を一生懸命したといった経験が無い場合そもそも生まれないのか、または必要性を感じてもどのように勉強したらよいか分からないのかもしれません。

職場結婚した方が何人もいるとは・・・

残業していたある日「お呼びがかかったので帰ります。」といって40代の女性の方が帰り支度を始めました。
私はそれを聞いて「保育園のお迎えかな」と思ったのですが、その後私の左の方を指さして「旦那です。」と言った感じでご主人を紹介されました。
言われた通り左を向くと、私と同じようなポジションの席に男性が座って仕事をしています。

実は、私の両親は職場結婚だったのですが、職場結婚なるものは私の親世代の方達がするもので、我々の世代では絶滅していると思っておりました。
「えっ!」と言った感じで驚いていると、200人くらいいるフロアの中で4~5組の職場結婚カップルがいることを教えてくれました。

「こんな会社では、おちおち働いてられない」なんて考えていたら職場結婚などできないので、いい会社なんだなあと思いました。

今時経費精算を現金でやっているなんて・・・

この会社で働き始めて初めに「これなんだ・・」と思ったのが、経費精算を現金で行っていたことでした。
40代の男性が、封筒に現金を入れて一人一人に配っている姿を頻繁に見かけるのです。
よく見ると、現金を配った時に特に受取のハンコやサインをもらっている気配もありません。
「危ないなあ・・」と思い、今まで問題が起こったことが無いのかと聞いてみると特にないとのことです。

経費精算は通常、給与の支払時に一緒に振り込まれることがほとんどだったので、現金を配るという発想がなかったのでびっくりしました。
振込手数料が馬鹿にならないなど言っておりましたが、現金を入れて封筒を配る人の時給を考えれば、こんなことをやる時間があるならば他の仕事をやればと思いました。

人を採用しようとしても来ません・・・

このような経理部だったため経験者を入れてほしいと上司にお願いしました。
人事で採用募集をかけてもらったのですが、あまりいいと思える方の応募書類が来ません。
よって、書類審査で普通に落としていたんですが、面接する人数が足りないと人事から怒られてしまいました。

経理に営業さんを連れてくる会社なので、おそらく経理など誰でもできると思っているのだろうと思いますが、それで埒があかないので経験者の募集を頼んでいる訳です。
しかし、私があまりにも書類審査で落としてしまうので、人事の方で書類審査を通してしまい面接してくれと言ってくるようになりました。
しかし、実際に会ってみるとやっぱり「この方はちょっと・・」といった結果になります。

そんな中でも面接をさせていただきたいと思える方の応募がたまにあり、面接のお約束をするのですがいろいろ事件が起こります。

ある方の面接のお約束の時間が過ぎていたのでドタキャンされたと思っていたのですが、約束の時間あたりに人事に電話連絡があったそうです。
この会社は駅から徒歩一分にあるとても特徴のある建物に入っていたのですが、この方は建物の前を通り過ぎて隣の駅の方まで歩いて行ってしまったそうです。

また別の方は、面接当日に父親が救急車で運ばれたといった電話連絡を入れてきて、面接がキャンセルされてしまいました。
「嘘だろう・・」と思いましたが、こういうことも中小企業での人の採用ではあることなのでしょう。

面接を受ける経験は腐るほどありますが、面接をする立場になったのは、この会社が初めてでした。
面接をする立場になって気付いたのは、面接をするには実際に面接をする時間だけでなく、経歴を確認したり、質問を考えたりするのに思ったより時間をとられることです。
思ったより時間を拘束されるので、いいと思える応募者の方一人と面接して、その方に決めてしまいたいと思うのですが、なかなかうまくいかないものだと思いました。

まとめ

この中小企業に入って、いろいろ驚いたことはありましたが、会社自体に不満があった訳ではありませんでした。
よって、この会社を一年余りで退社することになるとは想像もしていませんでした。
退社することになった理由はパワハラ上司のためなのですが、このことについては次回の記事で書きたいと思います。

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