経理マンがパワハラ上司に退職勧奨をされました

はじめに

私が昭和の空気が漂う中小企業に在籍したのは一年ちょっとでした。
今まで勤めてきた会社とは違うことはいろいろありますが、周りにいる人達はいい人が多かったので当初は長く勤めることができるのではと思っていました。
それがこんなにすぐ辞めることになったのは、常務取締役であり、経理部長であり、私の上司であった人間のためでした。
久しぶりに「こんな人間が民間企業にいるんだ・・・」と思った人間に退職勧奨されてしまったのです。

私の以前の感覚だと退職勧奨などというものは、人を殴ってしまったり、会社で不正を働いた等よっぽどのことが無い限り普通はやらないのではと思っておりました。
「気に入らないから」といった個人的な感情で退職を迫るなど、合理的に判断する人間ならばやらないのではと思っておりました。
会社は私を採用する時転職エージェントに年収の30%くらいを払っているはずですし、そもそも人がそんなに来る会社ではないので、人を簡単に辞めさせてどうするのかと思うのです。

私にもいろいろ至らぬところはあったことは自覚しております。
税務署時代には周りによく言われたことですが、私は空気を読むのが苦手であり、苦痛でした。
よく「言われなくても分かるだろう」という人間がいますが、私から言うと、こういう人間は自分の思いも満足に伝えられない無能な人間にしか思えないのです。

私も新入社員の頃よりは、この手の空気を読むという意識を年相応に働かせるようにはなりました。
しかし、この手のことを常識以上に求められて阿呆くさくなり、結果会社を辞めることになったのです。

この人、何で何も手を打たなかったのだろう・・・

前回の記事に書いたように、私がこの中小企業に入社した時の経理の状況はグタグタ状態でした。
パワハラ上司は私が入社する一年前まで経理をしていたようですが、その後出世して取締役となったのを機に、引き続き経理部長であるはずなのに経理部の面倒をみるのを止めてしまったようです。

当然、次第に経理がグタグタ状態になり、まずいと思ったのか経理をまとめる人を雇うことにします。
しかし、この時雇った方は経理の経験は長いのですが、決算を締めることまでやったことがないらしく引き続きグタグタ状態になったようです。

パワハラ上司曰く、この新しく雇った方の「経歴が立派だった」とか言っておりました。
パワハラ上司は人を雇うのが適当なところがあります。
普通人を雇う時は、こういう仕事をするのに手が足らないので、こういったスキルや経験を持った人間が必要だとまず考えると思います。
しかし、パワハラ上司は経理を知らない訳ではないのですが、「経理なんて誰でもできるじゃん」というノリで人を雇ってしまう訳です。

採用する時には職務経歴書と面接だけで判断する訳で、これで会社の求める仕事に適性のある人材を100%正しく判断できるかといえばできないでしょう。
しかし、一度人を雇うことを決めた場合、決めた人間には政治の世界の話ではないですが任命責任みたいなものがあると思います。

「この人雇って失敗した・・」みたいな話は珍しいことでは無いと思いますが、やってしまったらやってしまったで何とかフォローしようという意識が働くと思います。
しかし、この上司は自分が雇うと決めた責任は何も感じることなく、この雇ってしまった方を責めるだけで自分では何もせず、経理がグタグタになるのを放置していたのです。

この人、どうして経理が分からない人を経理に連れてくるのだろう・・・

このような状態の場合、普通ならばきちんと決算を組めるような人を追加で雇うという発想になると思いますが、パワハラ上司の場合は違いました。
何と10年営業をやっていた方をいきなり経理に連れてきて、経理の責任者に据えてしまいました。

連れてこられた元営業さんは「なんで俺が経理に・・」と感じたそうです。
これまで無理して経理の取りまとめをしてきた方は、やっと責任から解放されると思ったのに、何も経理を知らない新たな上司の面倒もみることになり、さらに絶望的になりました。

いきなり経理の責任者になった元営業さんは、何とか頑張ろうと思ったそうですが、やはり無理だったらしく、解決策として経理の経験のある人間を雇ってもらえるようにパワハラ上司に頼んだそうです。
その時にパワハラ上司が言ったのが「工夫が足りない」という謎の回答だったそうです。

この人、アルツハイマーなのかな・・・

こういった組織の作り方を全く知らないパワハラ上司のため、グタグタ状態であった経理部に私は配属されてきました。
こんな状態であったため、最初の二か月は法人税の申告を期限までに間に合わせることを目標にひたすら頑張りました。

それがようやく終わったころのことです。
いきなりパワハラ上司から「過去にも説明していますが、原価計算については、3月完成を予定しています。銀行との約束となっています。」というメッセージがきました。

当時この会社は製造業にも関わらず原価計算のシステムがグタグタ状態で、12月末の在庫の金額が2月が終わっても、ああでもない、こうでもないと決まらず決算を締めることができない状態でした。
これだと、まともに在庫の金額が出せるようになるには後一年くらいはかかるなあと思っていました。

こんな状況の中、3月もあと10日足らずで終わるというタイミングで、3月完成を予定している等とぼけたことを言っている訳です。
私には全く寝耳に水のことだったのですが、何のつもりか、パワハラ上司の頭の中では「過去にも説明してい」ることになっているようでした。

ただ意地悪なだけなのか、本当にこう思っているのか、ひょっとしてアルツハイマーなのか、本人に聞かないと分からないけれど、本人にはちょっと聞けない事態にちょっと困ってしまいました。

あなたの日本語分からないのですが・・・

パワハラ上司からメールがよく来るのですが、日本語がよく分からず苦労しました。
パワハラ上司の書くメールは、主語や修飾語が抜けていることが多く、書いていることが分かったような分かんないような内容になっています。
また、パワハラ上司が知っていることは私も既に知っていることになっている前提で書かれてあることも多く面喰いました。

内容が分からずに何度か質問を返すと、パワハラ上司の機嫌がだんだんと悪くなってくる訳です。
私に自分のメールがテレパシーで伝わらないと分かると、私を通さず直接部下の方達にメールを送って仕事をやってもらおうとするようになりました。

しかし、誰が読んでもパワハラ上司からのメールの意味は分からない訳です。
部下の方達はメールの内容が分からないと、パワハラ上司に質問をするのが嫌なので、私の所にパワハラ上司のメールの内容が分からないと訴えてくるわけです。

このパワハラ上司にどう対応しようか途方に暮れていた私は、パワハラ上司と比較的うまくやっている部下の方にどのようにパワハラ上司と付き合っているのか聞いてみました。
彼が答えたのは、分からないことを言われても、とりあえず「はい」と答えるということでした。
私はそれを聞いて「それ何の解決にもならないんじゃ・・」と思いました。

しかし、それを聞いた他の部下の方達も、パワハラ上司に何か言われた時、とりあえず「はい」と答えて「今の何だったんだろう・・」と後から悩むことを始めました。
すると、パワハラ上司は「分かってくれたんだ」といった満足感をもってすぐどっかに行ってくれるので、変なストレスを受けることが少なくなったようでした。

たった一人のために、こんな面倒くさい事をいちいち考えなければならない状況に何だかうんざりしました。

「内容は確認しました」と返事がきましたが・・・

入社後半年がたち、経理部の状況もだんだんと落ち着いてきた頃、パワハラ上司より中間決算の決算スケジュールを作るように指示されました。
決算に関係する部署にヒアリングして無理のないスケジュールを組んでメールで送ったところ、「内容は確認しました」と返答が来たので、特に問題はなかったのだろうと思っておりました。

その後、決算に関係する部署の人達を集めたミーティングがあり、そこで決算スケジュールを説明したところ、後日パワハラ上司より「決算スケジュールに報告 これについても、報告もなく突然説明会での報告でした。」と叱責のメールを受けました。(こんな感じの外人が書いたようなメールが来ます。)

「内容は確認しました」と返事をもらっていますがと反論したところ、「メールでは分からない。説明してくれなければ分からない。」という訳です。
私は「内容が分からなければ私を呼んで質問すればよかったのに・・」と思いました。
しかし、パワハラ上司からすると、何も言われなくても、私はパワハラ上司の時間を作ってもらえるよう事前にお伺いをして、その時間を使って説明することくらいしろと言いたいようです。

このパワハラ上司が、昔を懐かしんで、こんなことを話していたのを覚えています。
パワハラ上司の上司だった役員に、決裁文書にハンコを押すときに、本当に納得している時はまっすぐハンコを押し、本当は気に入らないけど仕方なくハンコを押す時はハンコを傾けて押す人間がいたそうです。
ハンコが傾いていた時には、後で「あの書類はどこかおかしかったのでしょうか・・」とお伺いに行かないといけなかったそうです。

本人はこんなことを嬉しそうに話していたので、パワハラ上司にとっては既に良き思い出に昇華されているのでしょう。
パワハラ上司としては、おそらく「俺も昔こんなことをしたんだから、お前らも俺に気を使え」といったことを言いたかったのでしょう。
しかし、私のように「なぜこんなに面倒くさいことに巻き込まれないといけないのか」と思う人間も多いと思います。

あなたではなく、私の方が常識がないのですか・・

入社してから約一年、こんな上司の下で働くのはきついなあと思いながら働いてきましたが、思いがけなく退職することになりました。
理由は、ある日パワハラ上司の意向を受けた人事部長に呼び出されて、給料が下がってもこのまま働き続けるか、退社するか選べといういわゆる退職勧奨を受けたからです。

年末になり、また決算スケジュールを作る時期になった時、パワハラ上司からいきなり決算スケジュールを10日前倒ししろという指令が出ました。
「無茶な話だなあ・・」と思いながらも、実際どれくらいスケジュールを縮めることができるか、関係する部署の方達に話を聞くために打ち合わせを企画しました。
なぜか、この打ち合わせを企画したことが退職勧奨のトリガーになってしまいました。

打ち合わせの前日になって、勝手に打ち合わせの予定がキャンセルになり、打ち合わせの予定日に人事部長から呼び出しを受けたのです。
彼が言うには、他所の部に何かを頼む時には、一番上の役職の人から、他所の部の一番上の役職の人へ依頼するというルールが、この会社では不文律としてあり、私はその不文律に違反しているというのです。
私はただ話を聞きたかっただけなのに、どうやら勝手に常識外れの問題人にされてしまったようです。

あなたではなく、私がパワハラ上司なんですか・・

また、私の部下が二人異動願いを出していることも問題視されたようです。

一人は高校卒業後に配属になった方でしたが、あまり経理の仕事が覚えられないようで、自分からパワハラ上司に異動願いを出したようです。

異動の話が出るちょっと前に話をする機会ができた時「毎日定時に帰っているけど、帰ってから何をしているの?勉強はしないの?」と聞いてみたところ、家に帰るとすぐ眠ってしまうというのです。
「なぜ?」と聞いてみると「自分って駄目だなあ」と思いながら眠くなってしまうそうです。
こんな話を聞いていたので、彼女が異動することを聞いても、環境も変わるし彼女にとっていいことだと思っていました。

もう一人は元営業の方でしたが、パワハラ上司にいきなり経理に連れてこられた方でした。
パワハラ上司に割り当てられた仕事をやり始めましたが、簿記の知識がないためかなり苦労しているようでした。

4ヶ月くらいたっても仕事が一人で完結させられないため、このままではまずいと思い、話をする機会を設けました。
話を聞いてみると、当然ながら「なぜ俺が経理に・・」と思っていたようです。

この会社の経理部は、パワハラ上司の素晴らしい組織運営に散々引っ掻き回された歴史があるので、昔経理にいた人間で異動願いを受理してもらった方は結構います。
そこで、本当につらい状況ならば部署異動を願い出るのも一つの手だけど、パワハラ上司に直接言わないと駄目だよ」と言ったところ、素直に私のアドバイスを聞いたようです。

私は二人とも適性がないのに、パワハラ上司に無理に経理に連れてこられた被害者だと思っていたので、他所の部に行けることをいいことだと思っていました。
しかし、パワハラ上司の頭の中の世界では、私は部下をいびって追い出そうとしているパワハラ上司と認定されてしまったようです。

こんな訳で、私は会社のルールをないがしろにし、部下をさんざんいびる管理職という理由で退職勧奨されてしまいました。

まとめ

当時は勘違いも甚だしいと思った退職勧奨ですが、無事他の会社に移れた今となっては、会社を辞めるいい機会を作ってくれたのではと思っています。
しかし、中小企業では、ある特定の不思議な人間のために会社を辞めなければならなくなることがあるということにびっくりしました。

今まで大きな会社でしか働いたことがなかったので、会社の組織として「この会社どうなの・・」と思い辞めたことはあります。
しかし、大きな組織の中では「この人どうなの・・」と思うような人は、管理職だった人は次第に役職をはずされ、役職を持たない人は組織にいずらくなって気が付いたら辞めていたといったことになるのではと思います。
こういった自浄作用といったものが、中小企業だとまるで働かないこともあるんだなあと思いました。

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